集客力と使いやすさを追求 店舗デザインで課題を解決
専務取締役 一級建築士
丸井宜忠(MARUI YOSHITADA)
坂井田建築設計事務所は2002年の創業以来、パチンコホールの設計デザインに特化して、全国で100件以上の店舗づくりに携わってきた。時代の変化に柔軟に対応しながら、新たな価値を生み出し続ける同事務所の丸井宜忠専務に、デザインの役割を聞いた。〔文中敬称略〕
文・写真=田中剛(Answersエディター)
text & photo by Tanaka Tsuyoshi
─良い店舗デザインをどのようにお考えですか?
丸井 商業施設の建築デザインは、「ブランドイメージの確立」「集客力の向上」「快適な利用環境の提供」という3つの重要な役割があります。端的にいえば、この役割を果たしているのが良いデザインです。カッコよければいいというものではありません。実際、建物の正面から見た外観はカッコいいけれど、クルマでアプローチする際の視認性が悪かったり、駐車場に入りにくかったり、駐車場から目当ての遊技機にたどり着くまでにストレスがあったりと、視認性や動線に課題を抱えた店舗が少なくありません。改装の機会にも、「既存の枠組みのままでいいのか?」という視点が重要です。
お客様にとっても従業員にとっても快適な空間になっているのか?
─お客様はきっと漠然としたストレスを感じ、本人も理由がわからないまま足が遠のくのかもしれません。
丸井 当事務所は施主様のご要望を伺うことは当然として、先の3つの目的を常に念頭に置きます。そのうえで私たちが重要だと考えているのは、「立地を活かした外観デザイン」と「店舗内の快適性」です。建物の外観は、お客様が店舗を認知し、訪れたいと思うかどうかを左右する大きな要素です。注意点は、立地に適した視認性、夜間の演出、店名サインの設置位置と大きさです。また、お客様がストレスなく利用できる空間づくりに大きな影響を与えるのは、動線、設備の配置、サイン、トイレです。台を多く設置することが優先され、通路の快適性が損なわれているケースは多いです。初めて訪れるお客様が、トイレや各エリアを迷わずに利用できるような配置、サインも重要です。遊技スペースと同じくらい配慮すべきなのが、トイレの設置場所と広さです。清潔感と快適性が求められる場所ですが、内装デザインや照明計画に創造性を発揮すれば、アミューズメント施設らしさも打ち出せますから、こだわるべきだと考えています。
─従業員にとっての機能性も必要ですね?
丸井 従業員にとっての機能性、快適な環境という視点は非常に重要です。これは働きやすさに影響を与えます。「このお店で働きたい」と思える空間は、スタッフのモチベーション向上につながり、結果としてサービスの質を高めますから。そして見落としてならないのは、日々のメンテナンスだけでなく中期的な修繕がしやすい設備計画や仕上げです。これは中期的にはコストパフォーマンスが高い設計となります。こういった、働きやすさ、メンテナンスのしやすさもご提案しています。
所在地/岩手県奥州市
遊技機台数/1007台(パチンコ621台、パチスロ386台)

Before

After
エントランスからホールへの動線は中央通路へ自然に導かれる平面計画に変更。ホール奥側エリアへの誘導を考慮し、中央通路をカーブさせた。

Before

After
既存建物の形状を活かし、色彩変更でイメージを変更。塗装色の濃淡で立体感を演出。日中の視認性を考慮した。
閉鎖的だった景品コーナーを移設。動線を考慮し、ホールと一体的なオープンスペースに変更したことで高級感あふれる空間に。
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