評価額診断で適切な納税
固定資産税が高いと感じる自店の建物 および土地の評価額は正しいのか
押見評価鑑定事務所
押見 善明
おしみ・よしあき
行政書士法人押見評価鑑定事務所代表。40万都市の自治体職員として固定資産税課で非木造家屋の評価を長期間担当し固定資産税に誤りが多いことに気付く。市民の味方を志し、平成25年に独立開業、令和4年に法人化、現在に至る。
毎年、高額な固定資産税がかかるパチンコ店。役所から納税通知が届き、適正な内容と信頼して納税されていることでしょう。しかし、誤った評価額によって、多く支払っているケースが多々あることをご存知でしょうか。
「固定資産税」とは、所有する建物や土地などの固定資産にかかる税金です。「高いな」と感じながらも責務を果たすべく、誠実に応じられていることかと思います。誤りがあるとは思いもよらぬことかもしれませんが、現実として、誤った評価額で多く支払っていることもあるのです。
固定資産税は「適正な時価」を標準として課税されるもので、土地に関しては、3年に1回の『評価替え(見直し)』を行っています。しかし、建物に関しての評価替え(見直し)はなされておらず、『3年に一度の物価上昇率と経年減価を掛け合わせて算出している』だけなのです。即ち、建物の評価額を間違えていた場合、その先もずっと“間違えた評価額のまま”になります。
何故、評価額が間違ってしまうのか。実際に評価を出す各自治体担当者のミスや、そもそもの知識不足が多くの市町村で指摘されています。固定資産税の算出方法はとても難解なのですが、多くの担当職員はその道の専門家ではありません。職員は基本的に3年程度で配置替えされ、部署を移動すると担当中は実作業で手一杯になってしまうのです。これは、私自身が自治体職員として、固定資産税課で非木造家屋の評価を長期間担当して実感したことでもあります。要は、評価の仕組みさえきちんと理解する時間もないのです。そのため、難解な仕組みを理解せずに誤った算出がされており、また、過去の算出結果も見直すこともできないのです。
私がご相談を受けた一例をあげると、不動産オーナーが数十年にわたり、固定資産税を多く支払われているケースもありました。全国ではさまざまな業種の事業者により自治体を相手に減額を求める訴訟も起きており、市場価値と評価額をめぐる混乱は後を絶ちません。ちなみに、過去における総務省の調査において、2009年~2011年の3年間で固定資産税の取りすぎが発覚、減額修正されたのは全国で25万件以上もあったといわれています。
パチンコ店300店以上の固定資産税の評価額を診断
行政書士法人「押見評価鑑定事務所」では、これまで300店以上のパチンコ店の固定資産税の評価額を診断してまいりました。対象建物は、鉄骨鉄筋コンクリート造、鉄筋コンクリート造、鉄骨造といった構造の建物です。評価に誤りが多い物件としては、昭和から平成バブル期の建築ラッシュ時に建てられたもので、都心より郊外、郊外より地方の物件の方が多い傾向にあります。この時期は評価員そのものが少なく、圧倒的に評価対象建物が多かったためです。さらに、『役所の建物担当と償却担当が互いに協力していない』、といったようなことを耳にすることもあって、M&Aや居抜き物件オープンが主流の近年のパチンコ店においても、より気になることのようです。
評価額を診断するメリットとして、評価に誤りがあった場合に、固定資産税を“正しい税額に見直せる”という点です。これまで固定資産税を多く支払っていた場合は、適正価格との差額が返還されるという点もあげられます。還付期限は法律的には5年、各自治体が条例で期限を10年などに制定している場合もありますが、平成22年に国家賠償法を適用する旨の最高裁判所の判決が出されたことにより、“20年間遡って還付される”ことが一般的となりました。さらに、還付金には4~5%程度の金利も付いてきます。
これらの減額や還付金額は、見直した数値や構造など、規模や条件によって幅がありますが、年間の減額が少なくても還付金は5年から20年間遡った金額が還付されたうえで、以降は適正な評価額での課税となるわけです。診断の結果、“現在の固定資産税は適正な評価額であった”、というケースが多い傾向ではありますが、そもそも“評価が適正かどうか”ということを把握すること自体が難しく、適正であった、という診断結果に対し安堵されることがほとんどです。
お問い合わせ(「固定資産税見直し係」とお申し付けください)
TEL:0297-50-0052/090-1843-9302
MAIL:9371kehy@jcom.home.ne.jp
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