デジタルサイネージ
デジタルサイネージ運用の工数削減で省人化を実現する
文=柴田一樹(ザック・ストラテジー代表)
店舗運営を取り巻く環境の中でも人材不足の問題はより深刻です。少子高齢化が進み、人口減が始った日本において、政府は働きかた改革を推し進めます。これにより私たちは副業や時短勤務など、よりフレキシブルな働きかたが選択できるようになってきました。
しかしこのフレキシブルな働きかたは店舗運営側に立ってみると、人材、特にアルバイトやパート従業員の「短時間就業による多人数化」を進める結果を生んでいます。この「短時間就業による多人数化」はスタッフ教育や情報共有の部分で社員層の業務負担を大幅に増大させてしまいます。これら人材に関する対策の一つとして、出来るだけ人の手をかけさせないような「省人化」の対策が必要になってきます。この省人化についてデジタルサイネージを上手く運用されている事例を2つご案内させていただきます。
集客のためのサイネージ運用
ひとつ目は当社がお手伝いさせていただいているパチンコ店様のデジタルサイネージ運用の事例です。
この店舗様では全社の方針で、「労務削減」、「残業なし」を進めていました。マネージャーが労務超過の要因となっている作業をピックアップしたところ、複数ある原因のひとつにサイネージの運用があるのが分かりました。この運用を可視化したものが下記のフローです。
サイネージの運用にかかっている1週間の労務時間6時間を、3分の1以下にするために次の対策が取られることになりました。
- コンテンツは重点を置くものは外注、それ以外はダウンロードサービスを活用する
- 配信は手間のかからないクラウド配信を採用する
- 教育がいらず誰もが直感的に操作できるシステムにする
その結果が図の下記のフローです(ここには労務の課題となっていたポスター掲示作業からのサイネージへの転換分も含まれております)。この効果は全社で認められ、全店でシステムの導入が図られました。
また、この店舗様は最近では出玉の数量表示をポスターで貼りだすことになりました。毎日の作業としてデータ入力→プリントアウト→ポスター差替えの業務は非常に工数のかかる作業です。
ここでも当社に工数削減の依頼をいただき、サイネージの配信システムに出玉データを取込むシステムを開発させていただきました。これによりホールコンピュータが吐き出すデータを自動で拾いデザインされたいくつものパターンの出玉表示をサイネージに放映してくれます。
この法人様では広告力を強化しつつも省人化とコストダウンを図ったサイネージ運用を実現しています。
内部に向けたサイネージ運用
ふたつ目の事例は当社が4年前よりある大手飲食店チェーンさんとデジタルサイネージの効果性の検証をすすめ、最近導入が開始された事例です。
飲食店はパチンコ店以上にアルバイトやパートのスタッフが多く、その管理に非常に苦慮されている業界です。特にコロナ禍においては、地域ごとに異なる保健所からの通達に、紙でのコミュニケーションに限界を感じたそうです。
さらに近年の「短時間就業による多人数化」により、従来の1日2回の朝礼の仕組みでは情報伝達が上手く回らなくなりました。
店舗にはパソコンが1~2台しかありません。情報漏洩の懸念からアクセスできる人も限られています。当然のごとくデジタルでの仕組みの見直しが検討されました。その中でもこの会社が目を付けたのが、コストパフォーマンスが高いデジタルサイネージでした。
検証当初は、「デジタルサイネージならば大量の情報がコンパクトなスペースで提供できる」との期待でスタートしたのですが、テスト店でアンケートを実施したところ、内容理解までの到達は想定より低いという結果でした。しかし、他のデジタルツールのテストを行い比較検証を継続する中で、デジタルサイネージの突出した効果を発見することができました。それが「気づき」です。
デジタルサイネージのテストは事務所に1台の中型液晶モニターに当社の配信システムを使って放映するといった単純なものでしたが、内容までの理解度は低くても、「これは見た」という成績は圧倒的に高かったのです。この法人様ではこの「気づき」を「認識」までにするために、個人スマホでサイネージの画面のQRコードを読み込み、個人個人が改めて自分の都合の良い時間に見られるようにしました。この単純なデジタルツールの連携方法がもっとも効率的に伝わる結果となったのです。もちろんパチンコ店様でも十分に役立つシステムだと思います。トップのメッセージから新台の情報、注意事項や朝礼の内容等、働く時間帯がまちまちなスタッフにも情報共有の手段として役立つツールです。
デジタルサイネージでの省人化事例はいかがでしょうか。私どもザック・ストラテジーはただサイネージの機材を導入するのではなく、狙った効果の実現を図ります。創意工夫し、足りなければ開発することを得意としております。ご興味がございましたら、ぜひご相談ください。
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