「採れている企業」が実践していること|アルバイト採用2024年振返り
早いもので、2024年の終わり、新たな年を迎えようとしています。この1年を振り返ってみると、マイナス金利政策の解除、賃上げ率アップ、物流や医療業界における2024年問題など、雇用、労務、採用に大きく影響を及ぼす出来事が思い出されます。帝国データバンクによれば、従業員の退職や採用難、人件費高騰などを原因とする「人手不足倒産」について、2024年度は過去最多を大幅に更新した2023年度をさらに上回る、記録的なペースで急増している(2024年9月時点)ようです。「賃金」と「労働環境」の改善が人手不足の解消を左右するだろう、との見解には、採用強者と弱者で2極化の加速も想定されます。
パチンコ業界においても「人手不足感」は否めず、20代の若い世代をターゲットとする様々な業種とバッティングしているのが実情で、応募が集まらない、採用できないといった悩みをよく耳にします。求人市場が売手優位であることを前提に、自社の状況や自店商圏に合わせながら柔軟に対応していくことが求められています。
表①はパチンコ店アルバイト求職者の平均応募数を「1」とした場合の各月推移ですが、年間を通してみた場合、直近3年では、4月から5月にかけてピークになっています。求人市場全体が賑わう時期とほぼ変わらず、“パチンコ店アルバイトの応募も増える”といえそうです。一方で、競合性が増すのもこの時期ですから、GW商戦も視野に入れた春先の人員確保について、『該当月から始動する』というのはあまりお勧めできません。業務習得も考慮すれば、遅くとも1カ月前、2カ月前に募集を開始しておくのがベターでしょう。
なお、2024年の通年において、indeedPLUSを有効活用しながら“コスパ良く採用できた”という声も上がっています。このサービスのポイントを大きく2つあげると、まず、従来の掲載課金型とは違い、自店の人員状況や採用市況などに応じて、「掲載期間や掛ける費用を企業側で自由にコントロールできる」という点。もうひとつは、「露出面の増加」です。indeedはもちろん、リクルート社が運営する求人媒体へ自動的に掲載されることもあるなど、自店・自社の求人が、“求職者の目に留まる可能性が高まる”という点です。即ち、“臨機応変”に“希望価格”で“露出面”を増やすことが出来るので、目的や目標に沿った、納得度の高い費用対効果が期待できるといえます。
サービスリリース直後は「費用をいくらで設定するべきか悩む」という相談が多くありましたが、現在は運用サンプルが一定数集まったこともあり、相場で運用をスタートすることで、採用単価の改善に繋がった、という声も伺っています。しかし、どんなサービスでも競合求人が増えれば状況は変化します。媒体選定だけで安心することはできません。
最低賃金改定
2024年10月の最低賃金改定は全国加重平均で51円の引き上げとなり、16都道府県で最低賃金が1,000円を上回りました。10年ほど前から「他業界とパチンコ業界の時給差は縮まっていると」言われていましたが、いよいよ時給差がなくなったと感じています。
求人原稿を作成する際に「高時給」という単語を使わないケースも目立つようになりました。
福利厚生の見直し、最低勤務時間の短縮、身だしなみの緩和など、時給以外でいかに『魅力付け』を行うか『勤務ハードル』を下げられるか、各企業、各店舗で創意工夫が見られるようになっています。例えば、“身だしなみの緩和”は、当社アルバイト求人サービス利用企業においても実施する事例は増えました。求人店舗によって効果は様々で、「応募増を狙った施策」が、結果として「採用率が向上した」といった声もあります。
「人柄は良いけれど、髪色が規定に合わない」という理由で、これまでは不合格としていた応募者を採用できるようになり、採用単価の削減にも繋がっているようです。
当社が毎年開催している人事交流会「アミューズメントナレッジバンク」でのアンケートでは、2024年のパチンコ店におけるアルバイト採用単価は6.7万円となっていました。
短時間勤務の導入や身だしなみ緩和などの制度の見直しには人事と店舗との連携が重要だということで、実際に「採用市場の現状を店舗役職者へ共有し、求人条件を一緒に考える」や「店舗スタッフとの面談を人事が担うことで、人事と店舗とのつながりを強くする」といった事例も伺っています。
店舗での対応を強化
また、求人媒体の選定と同じくらい各社が力を入れているのが応募者対応です。2023年頃までは応募対応を自動化する“ATS“の導入に関する話題が多かった印象でしたが2024年になるとATSの導入が普及し、スピーディーな応募者対応ができるようになったことで企業の悩みは「面接率」から「入社率」へ移行しました。売り手市場においては、面接は“応募者を選ぶ”のではなく“応募者に選んでもらう”という傾向が強いです。面接にきてくれた応募者が、他の求人に同時応募していて面接内容を比較するということも少なくありません。入社率の改善に向けた取り組みは、本部(人事)と現場(店舗)との連携が不可欠であり、人事の手腕が試される場面です。
面接に訪れた際の印象を良くする施策を店舗全体で実践しているという事例では、その日の面接スケジュールをスタッフ全員に共有し、面接者が来店した際にスムーズに案内できる体制を徹底。専用のwel-comeボードを設置し歓迎ムードを演出、面接が終わった後には店内を案内するなど、「おもてなし」によって、入社承諾を得たケースも伺っています。
パチンコ店のアルバイトに応募する方は、今では、ほとんどがパチンコ遊技未経験者のはずです。面接時に初めてパチンコ店に足を踏み入れると考えると、対応は“おもてなしレベル”が差別化になる、というのも頷けます。
丁寧な応募対応は入社率の改善だけでなく、面接結果が不合格だった場合でも応募者が店舗のファンになってくれる可能性を残してくれます。店舗運営にもメリットが生まれるという共通認識を持つことが、会社全体の採用力を底上げしているのだと感じています。
文=肥後こすも(パック・エックスアルバイト事業部マネージャー)
東京都港区東新橋2-4-1 サンマリーノ汐留6階
TEL:03-5777-0861
WEB:https://www.pac-ex.com/
コメント