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MIRAI/金光淳用代表理事「新しい価値創造の機運がある」【スペシャルインタビュー】

新しい価値創造の機運がある

一般社団法人 MIRAIぱちんこ産業連盟 代表理事
金光淳用 氏

本記事は『Amusement Business Answers』(2025 WINTER Vo.1 No.1)に掲載中です。
日遊協に団体加盟しているMIRAIぱちんこ産業連盟は、「パチンコから身近な娯楽のミライをイノベートする」を標榜する団体で、10月末時点で正会員にはホール企業63社・1134店舗、賛助会員には98社が加盟している。就任2年目の金光代表理事に業界の展望を聞いた。〔以下敬称略〕

──代表理事に就任してから現在2年目です。これまでを振り返り印象深かったことは?
金光 私はMIRAIの代表理事になる前には副代表理事でしたし、2020年の同友会とPCSAとの合併前は両団体に加盟していて内部から見てきた立場です。MIRAIは、合併時に掲げたミッション、ビジョン、バリューに沿って粛々と活動してきたので、現時点はあくまでも過去からの「延長線」の上にあると捉えています。その延長線上で、成熟の度合いがどんどん高まってきた。それが感想です。対外的には、他団体とのトップの方々と直接接する機会が増えコミュニケーションの密度が高まりました。それが個人的には大きな変化です。そんなことも含めて印象深いことを挙げるとしたら、パチンコ・パチスロ産業21世紀会に所属する13団体で検討を重ねてきた、業界の「パーパス」が、6月に13団体共催の合同祝賀会で発表されたことです。タイミングも良かったと思います。

──タイミングとは、どういう意味でしょう?
金光 新型コロナ禍には行動が制限され閉塞感が漂っていた一方で、できることが限られていたことで、業界が密接になりひとつの目標に向かいやすかった面もありました。ところが、ぎゅっと抑えられていた状況から脱却したことで、止まっていたいろいろなものが動き出して、それぞれが自分の主張をし始めた。そういう、拡散しつつある状況で、「社会全体に対して存在意義を示し広く国民に遊技産業の理解を求めるために、業界全体の存在意義(パーパス)を共有しよう」という動きがおこり、これが共有されたわけです。

──業界が良い方向に動いていると感じたことは他にありますか?
金光 ガイドラインの策定です。パチンコ・パチスロ店営業における「広告宣伝ガイドライン」、「賞品の提供方法に関するガイドライン」、「貯玉・再プレーに関するガイドライン」ができました。また、ガイドラインではありませんが、申請書類の電子化に向けても、ホール4団体が中心となって警察庁に意見を求めながら、記載方法が統一化されました。大きな進歩だと思います。どれも行政と業界が従前にも増して意思疎通しながら準備してきたという点で、ホール営業に関するターニングポイントになり得ると思っています。

──ガイドラインに関しては、いろいろな捉え方があるだろうと思います。
金光 日本では国民の自由な経済活動が保障されています。しかし、「法律に触れなければ何やってもいいんだろう」と曲解する人もいるために、公共の利益のために新たに規制を設けなければならないこともでてくる。そのような規制ができる前に、自分たちでルールを整備して逸脱しすぎないようにするのが、成熟した市民国家であり産業だと思うのです。そういう意味で、パチンコ業界が、成熟した産業へとまた一歩近づいた。私はそう捉えています。ガイドラインは行政への相談を重ねながら作ったもので、その過程で、ここ数年間の業界の取り組みを評価していただいている、行政と業界との相互信頼が深まったと感じています。

未来の顧客創造の原資はある

──ファンの創造に向けた、業界の取組はどうでしょう?
金光 業界のパーパスは、CSRとともに、「CSVの発想を持ちましょう」と提言しています。CSRは直接的な事業活動に加えて行われる善行を指すことが多いのに対して、CSV(クリエイティブシェアードバリュー:共通価値の創造)は我々のビジネスとして社会的課題に取り組むことを目指すものですから、新たなファン創造につながると期待しています。日工組さんの「KIBUNPACHI-PACHI気分がパチパチアガるキャンペーン」も、新しいお客様にも訴求しようというものなので、同様の取組だと思います。2025年には、そういう活動が業界内のあちこちで具現化していくだろうと思います。つまり、約800万人の既存のパチンコ・パチスロ参加者よりもっと広い人々にアプローチしていく取組です。一例を挙げれば、マルハン東日本さんの「ヲトナ基地プロジェクト」とか、タツミコーポレーションさんが事業展開するアイドルグループ「グットクルー」を起用したオリジナルPB機「推しスロアイドルVer.」開発といったものです。それを業界団体が仕掛けるのか、複数のホール法人の共同キャンペーンか、個社なのか、それはわかりませんが、新しい価値を創造するような動きが起こる機運を感じています。

──総論には賛成でも、原資をどうするか等で各論には反対もあるでしょう。
金光 厳密に計算したわけはありませんが、全遊技機メーカー様の研究開発費と全ホールの広告宣伝費の合計はおよそ2000億円。私見ですが、この中の5%だけでも、未来のお客様の創造のために振り分けられれば100億円です。まだ業界の中にこれだけの原資があると考えることもできますよね。まったく新しい遊技機とか、まったく新しいコンセプトのホールといったものを作らなくても、社会におけるパチンコのイメージを変える、「パチンコはこういう価値を持ってるんですよ」と伝えるだけでも、これまでと違うお客様が入ってきてくれるだろうと思っています。

──業界の喫緊の課題はどんなことだとお考えですか?
金光 先の各ガイドラインによって「この範囲でやって良い」となった遊技の多様性を営業に落とし込んで、成功事例を作ることでしょう。それも、ライフタイムバリューが長い若年層に支持されるような形であることが望ましいですね。そういうファーストペンギンが現れることを期待しています。

文・写真=田中剛(本誌エディター)

本記事は『Amusement Business Answers』にて掲載中です。12月26日から28日頃にかけて、全国のパチンコホール各社(店舗・本社)へ順次お届けいたします。(無料送付)

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