販促・集客ナレッジ

パチンコホール営業を革新する 現場密着型AI開発の挑戦

INSIGHT INTERVIEW
パチンコホール営業を革新する 現場密着型AI開発の挑戦

本記事は『Amusement Business Answers』(2025 SUMMER Vo.1 No.3)に掲載中です。

パチンコホールの経営コンサルタント、インベストメント・プロフェッショナル、会員制パチンコ業界情報サイト『P-MEDIA JAPAN』運営者、ホール向けスマホアプリ開発など多彩な活動をしている髙橋和輝氏が、新たなプロジェクトを立ち上げた。

文・写真=田中 剛(Answers 編集長)
text & photo by Tanaka Tsuyoshi
株式会社ピーメディアジャパン
代表取締役 高橋和輝(たかはし・かずてる)
【プロフィール】
ピーメディアジャパン主宰。大前研一ビジネススクール出身。18歳から現場一筋。ホール企業勤務を経て、コンサルタントとして独立。業界初のホール業界企業向けサブスクサービスを12年運営。現在はパチンコ特化型BtoBプラットフォームを展開(2024年取引額約6.5億円)する。

─AIシステムの開発に取り組んでいるそうですね?
髙橋 最初にお伝えしたいのは、私はまず「やらないこと」を決めました。ビッグデータ分析のような頭でっかち的なことは、私がいまやることではないと思った。では、何を開発しているかというと、まだサービス名称もロゴも決まっていない段階ですが、2つのAIシステムです。ひとつは、「競合店舗丸裸AI」と呼んでいます。これはパチンコホールの公開データをもとに競合店を徹底的に分析するものです。もうひとつは、「顧客管理AIシステム」で、お客様との会話履歴や遊技データを蓄積し、スタッフに適切な接客アドバイスを提供します。来店客を常連客へと育成するためのツールですので、「優良顧客育成AI」と呼んでもいいかもしれません。

競合店からお客様を奪い囲い込む

─どうやって「丸裸」にするのでしょう?
髙橋 「競合店舗丸裸AI」はSNS投稿や広告表現、来店イベントや景品イベント情報、頭どりデータ、店舗の人員、店舗の家賃・光熱費など、あらゆる公開情報を収集し、競合店の営業戦略を可視化します。デキる店長が今まで日々やってきたことです。日本中に埋もれているデキる店長のノウハウを活用したいのです。これによって、自店と比較した強み、弱みを明らかにします。そして、「今週、競合店がジャグラーの設定を急に上げた」「販促のボリュームを上げた」といったリアルタイムのアラート機能も備えます。そのうえでAIが、「この機種の設定を少し上げてみては」「この日にイベントを当ててはどうか」といった、営業戦略につながる具体的な提案をします。日々の営業の現実は、商圏内にいるパチンコ・パチスロユーザーに、いかにして自店を選んでもらうかという競争です。ストレートに言えば、競合店から自店にお客様を呼び込まなければ事業を継続できません。この現実から逃げてはいけないと思います。

─もう一方の「顧客管理AI」で囲い込むのですね?
髙橋 ひとことで言えばマイホを作る後押しです。来店イベントや新台入替を完全否定はしませんが、それに頼った集客で良いのかと危惧しています。例えば、お客様が1カ月ぶりに来店した際、前回の会話内容や好み、遊技の戦績などを瞬時にスタッフのインカムに伝える。お客様それぞれに合わせた声がけができるようにします。有名なホテルが行っている、顧客一人ひとりに寄り添うおもてなしを、AIの力で実現します。

─なぜそのような領域でAIシステムを開発しようと考えたのでしょう?
髙橋 私はいま46歳ですが、我々くらいの年齢の人間がチャレンジしてAIを使って業界に刺激を与えなければならないと思っていたところ、あるホール企業様が事業投資を申し出てくれたのがきっかけで、自分がやるべきことは何かを考えました。冒頭に申し上げた通り、すでにある「SIS領域」というべきビッグデータ分析のAIツールは、全国平均値や理想的な数値を示しますが、現場の実情から遠い。「それができないから苦労してるんだよ!」と
いう現実がある。だから自然と、「現場に寄り添う、実践的なAIサポート」をしようとなりました。

─稼働予測のニーズもあるのでは?
髙橋 私は「未来予測」にも手を出さないと早々に判断しました。すでにいろいろな方が機械稼働や中古価格の予想などに取り組んでいますが、私には、明日の株価を当てるようなものに思えますし、これが普及したときにどうなるのか。AIが未来予測をして、皆がそれを知った瞬間に未来の世界線が変わってしまうという『ドラえもん』の世界です。

エンジニアとの橋渡し役になる ホール現場を知る人材が必要

─顧客管理AIは他業種でも利用できそうですね。
髙橋 それも念頭に入れています。ただし、パチンコホールほどインフラが整っている業種はあまりない。スタッフの方々がインカムを使っていることで情報を集めやすい。インカムの通話を自動で書き起こしできるAIツールがすでにある。また、会員管理システムがあり、店内にはカメラもある。ホールほどAIに向いた環境はない。これって奇跡ですよ。まだまだ乗り越えなければならない技術的な課題があるのは事実ですが、これらを連携し、それぞれの情報を統合できれば、AIに大量のお客様情報を学習させることができます。

─実用的なAIの開発にはホール現場の経験、ノウハウが必要ですね。
髙橋 豊富な知識を持ったエンジニアと組んでいますが、この開発チームの強みはパチンコホール営業のさまざまな領域のプロが集まっていることです。私がホール営業の全ての領域をカバーできるわけではありませんから、開発の状況を発信しながらいまも仲間を募集しています。メンバーの中には現役のホール店長もいます。ホール現場の課題、ホール営業の重要な要素を言語化し、エンジニアに伝える人間が必要なのです。興味のある方はご連絡いただきたい。

─このAIツールが導入されたら、ホールスタッフの仕事は変わりそうです。
髙橋 AIが膨大な情報処理をして的確なアクションを提言してくれるので、ホールスタッフの背中を押してくれる存在になります。人間は実行役です。これを「AIに使われる」と感じるかもしれませんが、「お客様に楽しんでいただき、店舗を繁盛させる」という仕事の目標は今後も変わりません。AIが得意な部分はAIにバトンを渡すべきでしょう。我々人間はこれまでも多くの仕事を機械に引き渡してきたのですから。

株式会社ピーメディアジャパン
東京都江東区有明3丁目7番26号 有明フロンティアビルB棟9階
https://p-media.info/company/
TEL 03-5530-9217

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