MIRAIぱちんこ産業連盟は8月27日と28日に北海道札幌市で夏季合宿を開催。夏季合宿として過去最多の130人以上が参加。今年のテーマは、「25歳以下の若年層をターゲットにした新規顧客獲得のためのアプローチ」の議論。そのため29歳以下の参加を呼びかけた結果、会員企業、賛助会員企業の若手社員、ホール企業でインターン中の学生など45人の参加があった。
1日目は、「20代、『知る』から『理解』へ」をテーマに25歳以下の社会人および学生7人によるパネルディスカッションを開催。これ続き、参加者が10組に分かれてグループディスカッションをおこなった。2日目は、「マクロデータで見る20代遊技者の動向」と題した人首雄介氏(シーズ次長)による基調講演。その後、グループディスカッションのまとめに入り、午後に各グループによる成果発表がおこなわれた。

パネルディスカッション登壇者。左から豊田悠真さん(法政大学 大学ぱち・スロ部)、河合飛翠さん(法政大学 大学ぱち・スロ部)、畠山友暉さん(パック・エックス)

パネルディスカッション登壇者。左から有村颯太さん(学遊連)、中村雅子さん(学遊連)、岸野楽人さん(学遊連)、浪岡将史さん(学遊連)
パネルディスカッションは中村祐希氏(パック・エックス執行役員)が司会進行を務め、全日本学生遊技連盟、法政大学の「大学ぱち・スロ部」などから25歳以下のパチンコ・パチスロユーザー7人が登壇。各パネラーは自身の「遊び始めたきっかけ」や「友だちを誘った経験」、「ホールへの意見」などを共有した。登壇者のほとんどに共通するのが、「友だちに誘われた」のが遊技のきっかけではあるが、自身は「友だちを誘いにくい」と感じている点だった。
- 「誘う側として、『友人が負けたらどうしよう』という思いは常にある」(豊田さん)
- 「パチンコイメージが悪い。自分が悪く見られたくないので」(河合さん)
- 「誘ったことがあるが負けた。その友人は、お金だけでなく時間まで『もったいない』と感じていたようだった」(畠山さん)
- 「お金に余裕がない学生なので友人を誘いたくても誘いにくい。5スロがもっと増えれば友人を誘いやすい環境になる」(岸野さん)
- 「公営競技はスマホで遊べるし無料のお試しもあるので初心者を誘いやすい。カフェでもどこでもできる。でもパチンコホールという場には圧を感じてしまう」(中村さん)
パチンコホールに意見したいこととしては、「パチンコ・パチスロ愛も知識もない女性演者を招致することに異議がある」「隣の店からお客を引っ張るような来店演者の起用ではなく、新たな客層がホールに増えるような人を呼ぶべき」「ノンユーザーの若年層に発信したいのであれば、現状ホールがおもに使っているXでは届かない。若年層が使っているSNSはインスタやTikTok」「遊び方がわからずとまどっている初心者がいたら教えてほしい。初心者がホール内で遊び方を教えてもらえる導線、仕組みを作ってほしい」などが挙げられた。
パネラーの発言からうかがえるのは、若年プレイヤーには無料で遊技を体験できる機会のニーズがあることと、店内での体験こそ「パチンコ・パチスロ」であると考えていること。それゆえ、オンライン試打のようなイベントがあったとしてもそれは「パチンコ体験」とは異なるものと捉えるようだ。

パネルディスカッションのモデレータと2日間の進行役を担当した中村氏(パック・エックス進行役員)
若年層に認知してもらうには?
来店のきっかけを作るには?

2日目の基調講演を行った人首雄介氏(シーズ次長)
2日目の基調講演で人首氏は、シーズが実施している『パチンコ・パチスロプレイヤー調査』やグローリーナスカの会員管理データを用いながら、マクロ視点で見た遊技参加人口や売上の年代別構成比、若年プレイヤーの遊技動向などを説明した。2020年と2025年を比較するといずれの年代も遊技参加人口は減少しているが、減少幅がもっとも小さいのは20代層、もっとも大きいのは60代以上層。ただし、遊技者のほとんどは20代で始めること、遊技者は加齢とともに離脱していくことから、遊技参加人口を維持するには20代層をいま以上に増やしていかなければならない。
参加者は初日の夕食後もチームごとに集まり「車座交流」の中で日中の議論を深め、2日目のグループワークで、課題である「若年層新規ユーザーを増やすために業界団体としてもしくは自社・自店として何ができるのか?」の企画の仕上げをおこなった。

議論をスライドに整理し持ち時間5分で発表
若年層の意見やプレイヤーのマクロデータなどを踏まえて各チームが作成した企画案の中には、さまざまなアイデアが盛り込まれていた。その一例をあげると次の通り。
- 日本が誇るアニメ文化を活用し、特定の日に全国一斉にパチンコホールスタッフがコスプレをする
- パチンコとの接点を増やすために他業種(他の娯楽)とのコラボ
- パチンコホールの外(イベントなど)での遊技体験の創出
- お祭りや学園祭への、子どもでも遊べるスマートボールの貸し出し
- パチンコの認知拡大のための駅構内や通学路に体験型デジタルサイネージ設置(スロットレバーと連動した遊技の疑似体験ができるインタラクティブコンテンツ)
- 若年層の連れパチ促進のために、ホールに「友人と一緒に楽しめる場・選べる遊び方がある場」としての魅力付加
- アニメIPを利用したホール限定商品の開発
- 連れパチ促進のための、通常島内への「0円台」の設置(交互設置)
- 遊技者本人が貸玉料金を選べる遊技機の開発(若年層に刺さるコンテンツを使っていてもお金に余裕のない若年層は通常貸し台では遊べないから)
参加者からは、「グループ内のディスカッションに新たな発見があったが、他グループの発表も非常に勉強になった。自社で検討できることもあると思うので持ち帰って社内で共有したい」という声もあった。
MIRAI事業委員会はこの発表内容を団体内に共有し、今後、団体としておよび個社として若年層新規ユーザーを拡大するために取り組めることを模索していくという。

各グループの発表のひとつひとつを講評した金光淳用代表理事

事業委員会を管掌する趙顕洙副代表理事は合宿を振り返り「若者の参加によってベテランの先輩方との間にケミストリーがおきた」と感想を述べた

参加者は総勢130人以上。合宿としては過去最大の規模となった
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